ちょくちょくあるダメな在留資格変更許可のパターン
昨日は、群馬県伊勢崎市でビザとは関係のない手続き(風俗営業許可)の警察立ち合いを行い、その後群馬県某所に所在する企業様の担当者と「就労ビザ」への変更許可についてお話しました。
この企業様は、今後定期的に外国人を雇用し労働力不足を解消しようというプランがあり、ただ法令は遵守したい、という考えもあるので
行政書士事務所ネクストラフに相談・助言と今後の顧問契約の連絡があったわけです。
ということで
直近の採用とその手続き、今後どのような人材を雇用すべきかについてお話するため
群馬県某所におうかがいすることになりました。
「特定活動」からの就労ビザ変更は要注意
まずは、直近の採用を検討している人材についてお話をおうかがいすることに。
外国の方はすでに日本にいるとのことで、
「その方の在留資格はわかりますか?在留カードのコピーはありますか?」
とおうかがいすると
「特定活動で難民申請です」
という答えが。
特定活動で難民申請によるものである場合は、
特に気をつけなければいけません。
なぜなら「偽装難民」が後を絶たないからです。
2017年より前はいわゆる「難民申請」からの就労・・・「経営・管理」や「技術・人文知識・国際業務」は少なからず変更の許可が下りていた事実がありますが、
あまりにも偽装申請が多いため、2017年以降は「難民でないでしょ」ということが明らかな外国人については早急に不許可とされ、日本滞在を難しくしています。
この「難民申請」は簡単に行うことができます。
観光ビザできた外国人や在留資格がない外国人でも可能です。
そして、難民申請中は日本に滞在していていいよ、と言うのがこの在留資格。
さらに就労内容に制限がほぼないので(風俗営業はダメ等くらいの制限)
働ける範囲は非常に広く、
単純労働で外国人を雇用することができない建設業者さんは
一時期この「特定活動(難民申請)」の外国人を結構雇用していたこともあります。
ただ、、、上記にご案内した通り2017年以降は非常に厳しく
難民が疑わしい外国人は日本に中長期的に滞在することが非常に困難な状況にあります。
しかし、それにもかかわらず「難民申請」をする外国人はまだまだ多いのです。
私的に考えると、その理由は「コミュニティー内での成功体験」にあると考えています。
具体的に言うと、以前は特定活動(難民申請)からの経営・管理等のビザ変更はできていたため、その時の成功体験から、その国籍の外国人コミュニティーの中では未だに「特定活動(難民申請)からの就労ビザへの変更はできるよ」という噂が強く流れているのです。
ただ、やはり時代は流れていますし、
こと入管実務についてはここ1~2年で驚くほど変化しています。
難民申請については、「難民の可能性が高い」場合に限り「6カ月・就労可」の「特定活動」がでますが、例えば「本来の在留活動を行わなくなった後に難民申請をした人」等は「特定活動(3カ月・不就労)」のとなります。
「本来の在留活動を行わなくなった後に難民申請をした人」 の例として、
留学生が就職先を見つけることができなく、また就職活動のための「特定活動」を得ることもできずに「難民申請」してしまったケース、留学生が専門学校、大学を途中で中退したので帰国しなければいけないのにもかかわらず、日本に滞在したいために理由なく「難民申請」をしてしまう、といったものがあげられます。
このようなケースであると評価された場合には「特定活動(3カ月・不就労)」になりますし、もし採用した場合でもその後に「就労ビザ」を取得することは果てしなく困難です。
この度の企業様のケースが、まさにこのような状況でしたので、
元外国人留学生と企業様の利益を考えたときに
「採用はやめた方が良いでしょう」
ということになりました。
元外国人留学生にとっても一回帰国した方が
今後の日本への入国に支障が無くなりますし、
そもそも、就職活動の「特定活動」を得られないということは
学校からの推薦状がもらえない等の「本人に原因」がある可能性が非常に高いわけです(登校日数が少ない、週28時間以上労働している等)。
この度はこのような結果となりましたが、
今後具体的にどのような外国人材を獲得していくかは企業様の理念、ビジョンに大きく関連し、その時々の入管の法令・実務の改正にもかかわってくることで
こういったことは専門性が必要です。
そのことをご理解していただき今後定期的に相談・助言をおこなうという顧問契約に至りました。