私は強制送還されるのか?外国人が退去強制されるときの手続きと基礎知識
外国人の強制送還!!
あなたはどんな違反や場面を想像しますか?
オーバーステイや密入国、もしかしたら凶悪犯罪を思い浮かべるかもしれません。
本当のところ
どんなときに、どんな外国人が退去強制されるのでしょうか?
このページでは
『外国人の退去強制。手続きと基礎知識』
がわかるようになっています。
目次
毎年、何人が退去強制させられているのか?
入管法では日本の国家が好ましくないと認める外国人を、
行政手続きによって日本国外に強制的に国外退去させることができると定めています。
(入管法24条)
では実際にはどれくらいの人数が退去強制されているのか、ご存知でしょうか?
過去3年間(H28~H30)の退去強制人数
平成28年 | 平成29年 | 平成30年 |
13,361 | 13,686 | 16,269 |
平成30年には約2,500人ほど増加しています。
日本に入国する外国人自体の総数が爆発的に増えているので、今後も増え続けていくのではないでしょうか。
次はどんな理由で退去強制になるのか、をみてみましょう。
退去強制になる外国人はどんな人?
退去強制になる外国人は大きく分けて2種類。
- 違法な状態で在留している外国人
- 引き続き在留させることが無理な外国人
違法な状態で~というのは、不法滞在のこと。
在留させることが無理な~は日本にとって不利益な人です。簡単に言うと『法令違反者や犯罪者』です。
違法な状態で在留している外国人
違法な状態で~というのは、不法滞在のこと。
不法滞在はさらに3つにわけることができます。
- 不法入国者
- 不法上陸者
- 不法残留者
引き続き在留させることが無理な外国人
『無理な外国人』とは簡単に言うと法令違反者や犯罪者、日本の利益に反する人です。
おおよそ以下の通りです。
- 刑罰法令違反者
- 資格外活動許可を受けずに、在留資格では認められない就職活動もっぱら行っている者
- 人身取引等を行う者、売春直接関係ある業務に従事する者
- 他の外国人が上陸、在留するための申請に際し、偽造・変造文書作成提供した者
- 公衆等脅迫目的の犯罪行為を行うおそれのある者、国際約束により入国を防止すべき者
- 日本国の利益または公安を害する行為を行うおそれがある者
出入国管理及び難民認定法:入管法24条の退去強制理由(主な事項を記載)
退去強制の流れ(イラスト付き)
退去強制の手続きを簡単にご説明します。
手続きは調査、審査、審理という形で進みます。
退去強制の認定が誤っているときは、主張することもできます。
STEP.1 入国警備隊による調査
入国警備隊によって調査が行われます。
【容疑なし】ならば放免です。
【容疑あり】なら収容されます。STEP.2へ進みます。
STEP.2 入国審査官による審査
入国者収容所や地方入管局の収容場に収容されます。
入国審査官による審査が行われ、退去強制事由に該当しなければ放免。
退去強制事由に該当し、入国審査官から退去強制と認定された場合は
STEP.3 特別審理官による口頭審理へ進みます。
保安上支障がない範囲内において,できる限りの自由が与えられ,その属する国の風俗習慣,生活様式を尊重されています。
収容施設について(収容施設の処遇)
STEP.3 特別審理官による口頭審理
口頭審理は次のようなときに行われます。
- 容疑者がその認定が誤っていると主張するとき
- 誤ってはいないが、日本での在留を特別に認めてもらいたいとき
認定に誤りがなければ、STEP.4 法務大臣の採決へと進みます。
STEP.4 法務大臣の採決
入国警備官の違反調査、入国審査官の違反審査、そして特別審理官の口頭審理という一連の手続で作成された証拠(事件記録)を調べて裁決します。
異議申し立てに理由がなければ、退去強制が確定です。
STEP.5 退去強制へ
STEP.5 退去強制
上陸禁止期間 | ||
過去に退去強制歴等のある者 | 10年 | |
過去に退去強制歴等のないとき。 当局の摘発により退去強制された者 | 5年 | |
出国命令制度により出国した者 | 1年 |
もう、終わりか…疲れはてたときは…
上記でも少し書きましたが、退去強制事由に該当する人でも退去強制にならない人もいます。
退去強制ではない出国、あるいは日本に在留できるケースです。
例えば平成30年の不法残留者は14,353人。
そのうち6,245人は出国命令制度による出国です。
- 出国命令制度による出国
- 在留特別許可を得ての在留
出国命令制度とは
自主的に帰国の意思を持って出頭した場合。
身柄を収容されずに日本から出国することができる制度のこと。
上陸禁止期間も1年です。
ただし不法残留者のみです。
不法残留者なら誰でも、というわけではありません。
詳しくはこちら↓
在留特別許可とは
退去強制事由の該当者であっても、日本での在留を認められるケースもあります。
法務大臣が『特に在留を許可すべき事情がある』と認めたときです。
日本での生活歴、家族状況等の状況を考慮し総合的に判断されます。
少量の事例が公開されているので参考になるかもしれません。
法務省:在留特別許可関係公表資料
入管法では日本の国家が好ましくないと認める外国人を、
行政手続きによって日本国外に強制的に国外退去させることができると定めています。
国外退去が基本ですが、
場合によっては簡易な手続きで出国できたり、また日本に在留することができる許可を得ることもできます。
疲れはててしまったとき。
自ら出頭するのか一番有利なのではないかと思います。