通報だけが手段じゃない!オーバーステイ(不法滞在)を穏便にすます方法をご存知ですか?
身近にいる外国人が実は不法滞在者だったとしたら・・・
勤務先、取引先、友人、恋人など。身近な人であればあるほど悩んでしまいますよね?
しかし違法のまま日本に在留し続けるのも辛いはずです。
今の日本には『オーバーステイであっても、なるべく穏便に出国できる制度』もあります。
このページでは
不法滞在者が自ら進んで帰国できる『出国命令制度』について
わかるようになっています。
目次
不法滞在者には3種類ある
まず
不法滞在者ってどういう人のこと?
から始めましょう。
というのは『出国命令制度』は不法滞在者全員が対象ではないからです。
不法滞在者は次の3つにわけることができます。
- 不法残留者
- 不法入国者
- 不法上陸者
不法残留者のみが『出国命令制度』を適用できる可能性があります。
不法残留者(適法で入国)
『出国命令制度』を適用できる可能性アリ。
在留期間、上陸期間等を超えて残留する者。
最初は何かしらの在留資格を得て、合法的に来日している人です。
例えば「短期滞在」などの在留資格で入国し、その後、在留期限が切れても在留し続けている人のことです。
不法入国者(違法に入国)
『出国命令制度』を適用できる可能性ナシ。
有効な旅券を所持せず、あるいは偽造旅券で日本に入った者。
最初から違法な手段で入国している人です。
不法上陸者(違法に入国)
『出国命令制度』を適用できる可能性ナシ。
入国審査官の上陸許可等を受けずに上陸した者。
最初から違法な手段で入国している人です。
オーバーステイを知ったとき。2通りの対応
身近にいる外国人がオーバーステイ者だと知った時、私たちができることは2通りあります。
- 入国管理局に通報する
- 入国管理局に出頭をうながす
入国管理局に通報する
1つは入国管理局に通報すること。
誰が通報したか後が漏れることはありません。
通報先はこちら↓
出入国在留管理庁:情報受付
入国管理局に出頭をうながす
2つめは出頭をうながすことです。
日本には『出国命令制度』という、自主的に帰国の意思を持って出頭した場合は身柄を収容されずに日本から出国することができる制度(※)があります。
こちらのほうが出国、再入国の条件がよい場合があります。
※一定の要件を満たしていることが必要。後述。
出国命令制度って何?
出国命令制度とは、簡単に言えば
不法残留者をすみやかに帰国させるための制度
です。
令和元年上半期中に出入国管理及び難民認定法違反により退去強制手続を執った外国人は9,012人。
そのうち、出国命令制度の対象となった者は4,053人です。
強制送還と何が違うのか?
これまで不法残留などの退去強制事由に該当する外国人は全て退去強制手続(強制送還)を取ることになっていました。
自ら出頭しても退去強制。身柄を収容されました。
対して、
出国命令制度では
身柄を収容せず、帰国を勧める
というスタンスを取り入れています。
不法残留者が出頭しやすいように、帰国するためのハードルを少し下げたという制度です。
もちろん誰でも簡単に帰国できるわけではなく、一定の要件を満たした人のみが対象です。
出国命令制度の手続き
出国命令制度についての大まかな流れをご説明いたします。
細かい点については、法務省:退去強制手続及びの出国命令手続きの流れをご参考ください。
外国人が入国管理局に出頭
↓
入国警備官による違反調査(出国命令対象者に該当)
↓
入国審査官の違反審査(出国命令対象者に該当と認定)
↓
収容せず
↓
主任審査官による出国命令書の交付
↓
出国期限(15日以内)が示される
↓
出国
出国命令制度の対象となる人
不法残留者が全員対象になるわけではありません。
対象となる人の条件が示されています。
- すみやかに出国することを希望して、自みずから入国管理局に出頭したこと。
- 不法残留している場合に限かぎること。
- 窃盗その他一定の罪により懲役刑等の判決を受けていないこと。
- これまでに強制送還されたり、出国命令により出国したことがないこと。
- すみやかに出国することが確実であること。
該当する方は『出国命令制度』によって出国できる可能性が大です。
ただし、ペナルティが全くないというわけではありません。
次回の入国に関しては制限があります。
それも退去強制と比べれば、かなり緩和されたものになっています。
出国命令制度の上陸拒否期間
出国命令制度によって日本を出国した外国人は、一定期間日本への上陸が禁止されます。
上陸拒否期間は1年です。
そんなに!?と思うかもしれませんが、退去強制の場合は5年です。
また過去に退去強制歴のある人の場合は10年です。
それに比べると出国命令制度によって出国した場合は1年です。
かなり緩和されてると言えるでしょう。
令和の時代。不法残留者は変わった!
ちょっと余談ですが、不法滞在と聞いてどこの国を思い浮かべますか?
多くの人は中国、フィリピン、タイあたりではないかと思います。
令和の時代に突入してからは、大きく変化しました。
今、不法残留者で一番多いのはベトナム人です。
もしかしたらあなたの生活の中で、不法残留のベトナム人と接することがあるかもしれません。
あなたが雇用主であるならば、不法残留者を雇用するのだけは避けた方がいいです。
これはオーバーステイの外国人のためではなく、会社のためです。
今は不法残留者と知らずに雇用しても罪に問われます。
知らなかった!が通用しない、そんな時代に突入しています。