【第1回】留学ビザから就労ビザへ変更手引き-採用前に知っておきたいこと-

【第1回】留学ビザから就労ビザへ変更『採用前に知っておきたいこと』

留学ビザから就労ビザへ変更についてまとめました。( 全6回 )

『留学ビザ』から『技術・人文知識・国際業務ビザ』に変更する方を想定しています。

外国人留学生自身はもちろんのこと、
企業の人事担当者様や、日本語学校や専門学校・大学関係者にもご参考いただければと思います。

ビザの変更はややこしいことが多いので、あまり細かいことは書きません。
まずは全体の流れをつかむことからスタートしたいと思います。

第1回は

『採用前に知っておきたいこと』

です。

留学ビザから就労ビザへの変更。その許可率は?

留学ビザから就労ビザへの変更。その許可率は?

まず留学ビザから就労ビザへの変更がどれくらいの成功率なのか、です。
平成30年度の法務省の発表では以下の通りです。

平成30年に留学生が本邦の企業等への就職を目的として行った在留資格変更許可申請に対して処分した数は30,924人)(前年比2,998人増),うち許可数は25,942人(前年比3,523人増)で,いずれも前年と比べて増加し,過去最高を記録しました。許可率は83.9%で前年と比べて増加しました。

法務省:平成30年における留学生の日本企業等への就職状況について

意外と許可率が高い?

平成30年度の許可率は83.9%です。
8割以上の留学生は在留資格の変更が無事に行われています。

思っていたよりも高いのでは?
これなら楽勝?
そんな印象を受けます。

実はこれは申請を手助けをした方の力が大いに関係しているのではないかと考えられます。
なぜなら卒業シーズンの入国管理局は、企業や外国人留学生から依頼を受けた入管専門の士業でいっぱいになります。
多くの留学生は誰かの手助けを得て申請をしているんですね。

それでも約16%の留学生は不許可です。

外国人本人に問題があったケースもあると思います。
残念なのは

  1. 就職先の協力が得られなかった
  2. ビザ変更のための知識が不足していた

という方です。
本来なら許可がおりる可能性の高い留学生でも、申請のやり方が悪いと不許可になってしまうのです。

就労ビザの取得に絶対に必要なもの。

外国人留学生を雇用するときの最初の目標は

留学ビザから就労ビザに変更すること

です。
なぜなら就労ビザが下りなければ、どんなに優秀な外国人留学生でも日本で働くことはできないからです。

この目標を達成するのに必要なもの。
それは

外国人を雇用する企業の協力

です。(もちろん外国人留学生の努力も必要ですが…)

在留資格変更許可申請を行うには、 外国人だけでは用意できない書類や資料がたくさんあります。
これらは雇用する企業の協力があってこそ用意できるものです。

採用したい外国人が現れたら、外国人と一緒に就労ビザ取得を目指してください。
そのほうが就労ビザの取得率は格段に上がるはずです。

大学卒業と専門学校卒業の違い

大学卒業と専門学校卒業の違い

外国人留学生と言ってもいろいろな学校に通っています。

  1. 大学院生
  2. 大学生
  3. 専門学生
  4. 日本語学校生

通っている学校の種類によって、就労ビザの申請は難易度が異なります。
下にいくほど審査が厳しくなります。

どのような学校に通っていたのか?
そのことを考えながら申請の書類を作る必要があります。

以下、ほんの少しですが、大学卒と専門卒の違いをあげてみます。

留学生が大学卒業の場合

大学生は比較的考慮の余地を持って審査してもらうことができます。
また職種と学歴の関連性を説明しやすい、という一面もあります。
(もちろん職種と学歴があまりにかけ離れている場合は、不許可の可能性が高いです。)

留学生が専門学校卒業の場合

大学卒と比べると専門学校生はシビアです。
専門学校卒業生は専門士(※1)となりますが、かなり厳密に学んできたことと職種の関連性を求められます。
特にむずかしいのは文系です。
学んだ科目や内容が具体的ではないケースが多く、関連性の説明が大変むずかしいです。

※1.日本国内の専門学校を卒業し「専門士」の資格を得たもの。
文部科学省:専門士の称号を付与する専修学校

雇用主(会社側)も審査の対象です。

雇用主(会社側)も審査の対象です。

審査されるのは外国人ばかりではありません。
外国人を雇用しようとしている企業側も審査されます。

簡単に言うと

外国人を安定して雇用できるだけの信用と力があるかどうか?

を審査されることになります。
企業の規模や業績の他、法律違反などの犯罪行為を犯していないなどが審査されます。

企業はカテゴリー分けされ、提出資料が異なる

雇用する側は規模や事業内容によってカテゴリー1~4(※2)に分けられます。

自社がどのカテゴリーに入っているのかを確認し、必要な書類を揃えて行きます。
大企業ほど用意する書類が少なくてすむ、そんな仕組みです。

大企業が優遇される仕組みですが、甘く見てはいけません。
あとで追加資料を要求されることがあります。

カテゴリーに関係なく
最初からすべて用意して申請に臨むのがベストなやり方です。

(※2)
ここでは詳しいカテゴリー分けのご説明は省きます。
詳しく知りたい方は 法務省:技術・人文知識・国際業務 をご参考ください。

ビザの変更はこの流れで進めるのがベスト

留学ビザから就労ビザに変更するにはいくつかのステップをふみます。
内定からいきなり変更手続き(就労ビザ申請)ではありません。

以下のような5ステップで進めるのが一般的です。

留学ビザから就労ビザへ変更の5ステップ

  1. STEP.1 求人募集
  2. STEP.2 事前調査
  3. STEP.3 雇用契約書を交わす
  4. STEP.4 変更手続き(就労ビザ申請)
  5. STEP.5 受け入れ準備

STEP.1の求人募集については日本人とほぼ同じです。
それ以降 STEP.2~5は外国人留学生専用の手続きです。

採用したい外国人留学生が現れたとき、まずは事前調査を行います。
例えば自社での行ってもらう仕事内容と外国人の学歴のマッチングです。

これらはひと言では説明できないので、
次回から順を追ってご説明いたします。

いつ申請するの?

在留資格変更許可申請の受付は留学生が卒業する前年の12月、つまり卒業する4ヶ月ぐらい前から開始されます。

しかし外国人の採用は決まったらなるべく早めに準備を開始してください。
なぜならこの時期は入国管理局が大変込み合うからです。

なるべく短い時間、確実に就労ビザを得られるよう工夫と知恵が必要です。

ビザの申請ははっきりいって経験がものをいいます。

留学ビザから就労ビザへの変更については、ネクストライフのような申請取次行政書士など入管業務に慣れた方に依頼したほうがスムーズに物事が運びます。

まとめ -第1回はここまで-

大まかに書きましたが、以上が事前に知っておいてもらいたいことです。

まとめると

  1. 雇用主(企業側)の協力が必要不可欠であること
  2. 申請は卒業年度の前年12月から行えること
  3. 大学生と専門学生では審査の難易度が違うこと
  4. 雇用主(企業側)も審査されること

そして留学ビザから就労ビザは5つのステップをふむことです。

次回からは5つのステップに沿ってご説明をしたいと思います。
と、思いましたが『STEP.1 求人募集』はビザの変更とは趣旨が少し違うので、求人募集に関しては、また別の機会に書きたいと思います。

次回は

【第2回】留学ビザから就労ビザへ変更手引き-事前調査① 在留カードの確認編-

です。

外国人ビザ取得:行政書士事務所ネクストライフ

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